英会話教室の講師を選ぶとき、「英語が流暢だから、きっと教え方も上手だろう」と考えることがあります。もちろん、講師に正確な英語力があることは大切です。
ただし、英語を上手に使えることと、英会話初心者が話せるように教えることは、同じ能力ではありません。
初心者は、単語を思い出す時間が必要です。質問が聞き取れないこともあれば、どこを直してほしいか自分で説明できないこともあります。そこで講師が待ち、難度を調整し、生徒の言いたいことを引き出せるかによって、レッスンの使いやすさは変わります。
この記事では、英会話教室を20年以上運営してきた現場経験から、英語が得意な先生と、大人初心者を教えるのが上手な先生の違いを解説します。
結論|英語力は土台、初心者指導には別の技術が必要
英会話講師には、正確に理解し、自然な表現を示せる英語力が必要です。しかし、初心者を教えるには、さらに次の力が求められます。
- 生徒が答えるまで待つ
- 英語の難度を調整する
- 生徒自身の話を引き出す
- 会話を止めないよう訂正量を調整する
- 簡単な英語や具体例で説明する
- レッスン後に何を練習すればよいか示す
発音がきれい、語彙が豊富、海外経験が長いといった強みは大切です。それに加えて、初心者が実際に話す時間を作れるかを確認しましょう。
しゅみすけ<br>(大山俊輔)
英語が得意な先生に期待できること
英語力の高い講師からは、次のようなことを学べます。
- 自然で正確な英語表現
- 発音やイントネーション
- 場面に合った言葉の選び方
- 細かなニュアンスの違い
- 幅広い話題への対応
これらは講師として大切な土台です。ただし、知識が豊富な講師が、その知識を初心者向けに小さく分けて説明できるとは限りません。
専門的な説明を一度にたくさん行う、講師自身が長く話す、間違いをすべて直すといったレッスンは、中上級者には刺激的でも、初心者には情報量が多すぎる場合があります。
初心者を教えるのが上手な先生の6つの特徴
1.沈黙を急いで埋めず、答えを待てる
初心者は、質問を理解し、日本語で考え、知っている英語を探すまでに時間がかかります。
教えるのが上手な講師は、すぐに答えを言ったり次の質問へ移ったりせず、生徒が話し始める余白を作ります。必要な場合は、答えそのものではなく、最初の一語や選択肢を示します。
Was it fun or difficult?
楽しかったですか、それとも難しかったですか?
このように範囲を狭めると、初心者も答えやすくなります。
2.生徒に合わせて英語の難度を調整できる
同じ内容でも、言い方の難度は変えられます。
難しい質問:
What aspect of the experience did you find most rewarding?
初心者向け:
What was the best part?
一番よかったことは何ですか?
上手な講師は、難しい表現を使えるだけでなく、必要に応じて基本語へ下げられます。そして、生徒が慣れてきたら少しずつ表現を広げます。
3.教材だけでなく、生徒自身の話を引き出す
初心者が覚えやすいのは、自分の仕事、家族、趣味、週末など、実際に使う内容です。
教えるのが上手な講師は、教材の例文を読んで終えず、生徒へ置き換える質問をします。
- How about you?
あなたはどうですか? - When did you do that?
それをいつしましたか? - Who did you go with?
誰と行きましたか? - Why do you like it?
なぜそれが好きですか?
正解を答える授業から、自分のことを話すレッスンへ変わります。
4.会話を止めないように訂正量を調整する
初心者の英文には、発音、語順、時制、前置詞など、複数の修正点が含まれることがあります。すべてを一文ごとに直すと、生徒は間違いを恐れて話せなくなるかもしれません。
上手な講師は、レッスンの目的に応じて直す点を選びます。
- 意味が伝わらない間違いは、その場で直す
- 今日の学習項目は、重点的に直す
- 会話中は流し、あとでまとめて直す
- 繰り返している間違いを一つ選ぶ
訂正の希望は、英会話の間違いはどこまで直してもらう?で紹介している表現を使って講師へ伝えられます。
5.文法用語だけに頼らず、簡単な英語と例で説明する
「これは動名詞だから」と説明されても、文法用語を忘れている大人初心者には分かりにくいことがあります。
教えるのが上手な講師は、短い例を並べ、どこを置き換えるかを見せます。
- I enjoy cooking.
料理を楽しみます。 - I enjoy reading.
読書を楽しみます。 - I enjoy traveling.
旅行を楽しみます。
そのうえで、What do you enjoy doing?(何をするのが好きですか?)と、生徒自身の文を作らせます。
6.レッスン後の次の一歩が分かる
楽しかっただけで終わらず、「次までに何を練習するか」が一つ分かるレッスンは、自宅学習へつながります。
例えば、講師が次のように絞ってくれます。
- 今日直した一文を3回声に出す
- 同じ文型で自分の例を二つ作る
- 次回、週末について30秒話す
- 新しい表現を一度使う
宿題が多いことより、何のために練習するかが明確なことが大切です。
体験レッスンで確認したい6つのポイント

| 確認項目 | 体験レッスンで見ること |
|---|---|
| 待ち方 | 考える時間を取ってくれたか |
| 難度調整 | 分からないときに簡単な英語へ変えたか |
| 発話量 | 自分が話す時間を作ってくれたか |
| 訂正 | 会話を止めすぎず、役立つ訂正があったか |
| 説明 | 例や基本語で理解できるようにしたか |
| 次の一歩 | レッスン後に練習する内容が分かったか |
初心者が「良い先生だった」と勘違いしやすい点
体験レッスンでは、次の印象だけで判断しないようにしましょう。
- 先生の英語が速くて流暢だった
- 先生が面白い話をたくさんしてくれた
- 難しい文法を詳しく説明してくれた
- 知らない単語をたくさん教えてくれた
- 間違いをすべて直してくれた
これらは悪いことではありません。ただし、初心者に合うかは別です。
レッスン後には、「先生がどれだけ話したか」ではなく、自分が何を言えたか、次に何を練習するかを振り返ってください。
しゅみすけ<br>(大山俊輔)
カウンセラーへ聞いておきたい質問
英会話教室にカウンセラーや受付担当者がいる場合は、次の点を質問できます。
- 初心者を多く担当している講師は誰ですか?
- 講師は固定できますか?途中で変更できますか?
- 訂正の希望を講師間で共有できますか?
- レッスン内容や進捗は記録されますか?
- 教材の難度が合わない場合は変更できますか?
英語で講師へ直接希望を伝えるなら、次のように言えます。
Please give me time to answer.
答える時間をください。
Please use simple English.
簡単な英語を使ってください。
I’d like to speak more during the lesson.
レッスン中にもっと話したいです。
国籍よりも指導経験と相性を確認する
初心者を教える力は、講師の国籍だけでは決まりません。ネイティブ講師、日本人講師、さまざまな国の外国人講師のそれぞれに強みがあります。
国籍より、初心者の発話を待てるか、簡単な英語へ調整できるか、自分の目的に合うかを確認しましょう。
関連する比較は、英会話はネイティブ講師に習うべき?、日本人講師と外国人講師の違いで詳しく解説しています。
講師の固定や相性も含めた選び方は、英会話教室の講師はどう選ぶ?をご覧ください。
まとめ|初心者が話せるように助けてくれる先生を選ぼう
英語が得意な先生は、正確で自然な英語を示してくれます。初心者を教えるのが上手な先生は、その英語力を使いながら、生徒が答えるのを待ち、難度と訂正量を調整し、自分の話を引き出してくれます。
体験レッスンでは、講師の流暢さだけでなく、自分がどれだけ話せたか、分からないときに助けてもらえたか、次の練習が分かったかを確認してください。
初心者に合う講師は、完璧な英語が話せるようになるまで待つ先生ではありません。今知っている英語から、次の一文を一緒に作ってくれる先生です。
講師選び・相性・レッスン調整の悩みをまとめて確認する方は、英会話講師との相性・レッスン調整ガイドをご覧ください。
講師選び・相性・レッスン調整の悩みをまとめて確認する方は、英会話講師との相性・レッスン調整ガイドをご覧ください。




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