「TOEICではそれなりの点数を取れたのに、英会話レッスンでは言葉が出てこない」「点数が低いから、初心者クラスから始めるしかないのだろうか」と不安になる人は少なくありません。
けれども、一般にスコアとして語られるTOEIC Listening & Reading Testと、実際の英会話力は同じものではありません。重なる部分はありますが、測っている力と使う条件が異なるからです。英会話教室では点数だけでレベルを決めず、聞いて反応する・自分の言葉で伝える・会話を立て直すといった力を別に確認することが大切です。
TOEICスコアと英会話力はなぜ一致しない?
TOEIC Listening & Reading Testでは、英語を聞いて理解する力と、英文を読んで理解する力が中心になります。一方、英会話では、相手の言葉を聞きながら意味を取り、その場で内容を考え、声に出し、相手の反応に応じて調整しなければなりません。
知識があることは会話の土台になりますが、知識を時間制限のある対話の中で取り出すには別の練習が必要です。そのため、スコアが高くても話す経験が少なければ詰まることがあり、逆に点数が高くなくても、知っている簡単な英語を使って会話を続けられる人もいます。
しゅみすけ<br>(大山俊輔)
TOEICで測りやすい力・英会話で必要になる力
| 確認する力 | TOEIC L&Rで見えやすい | 英会話レッスンで見えやすい |
|---|---|---|
| 語彙・文法の理解 | 問題を通じて確認しやすい | 実際に使えるかを確認できる |
| 聞き取り | 音声内容を選択肢で判断する | 相手の発言にその場で反応する |
| 話す力 | 直接は測らない | 返答・説明・質問として確認する |
| 会話の立て直し | 測りにくい | 聞き返しや言い換えで確認する |
| 相手とのやり取り | 測りにくい | 反応を見ながら調整する |
なお、TOEICにはSpeaking Testもあります。ただし、英会話教室での対話は講師とのやり取りが連続するため、試験とは別の観点から実践力を観察できます。

TOEICの点数は高いのに話せない4つの理由
1.正解を選ぶ練習が中心だった
選択肢から答えを見つける力と、ゼロから自分の文を作る力は同じではありません。意味は分かっていても、主語を決めて文を組み立てる経験が少ないと、会話では時間がかかります。
2.間違えないことを優先している
試験では正確さが得点につながります。しかし会話では、多少不完全でも先に反応し、必要に応じて言い直す力が必要です。正しい文が完成するまで黙ってしまうと、知識があっても話せない感覚になります。
3.自分について話す練習が少ない
仕事、家族、休日、最近の出来事など、自分固有の内容は問題集の中にはありません。よく話す話題について、短い答えを繰り返し作ることで初めて使いやすくなります。
4.相手に働きかける表現を使っていない
聞き返す、確認する、少し待ってもらう、別の言い方を試すといった表現は、会話を続けるための道具です。すべてを一度で理解しようとすると、実際の会話で止まりやすくなります。
TOEICの点数が低くても英会話ができることはある
点数が低いことは、会話ができない証明ではありません。使える語彙が限られていても、相手の要点をつかみ、簡単な文で返し、分からない部分を確認できれば対話は成立します。
ただし、点数を軽視すればよいわけでもありません。語彙や文法、聞き取りの土台が増えるほど、話せる内容も広がります。大切なのは「テストか会話か」という二者択一にせず、目的に応じて両方を使い分けることです。
英会話教室では5つの観点で会話力を確認する
返答を始めるまでの速さ
長い文でなくても、挨拶や簡単な質問へ自然に反応できるかを見ます。沈黙が短くなることも重要な上達です。
自分の情報を伝えられるか
暗記した例文ではなく、自分の仕事や予定、好みについて一文から数文で話せるかを確認します。
質問を返せるか
答えるだけでなく、相手にも質問できると会話が往復します。難しい質問である必要はありません。
分からないときに対処できるか
聞き返す、言い換えを頼む、理解した内容を確認するなど、会話を自力で立て直せるかを見ます。
言い直しながら続けられるか
最初から完璧に言うことより、間違いに気づいて修正し、伝え切れることを評価します。英会話教室の一般的なクラス分けについては、英会話教室のレベル分けとは?も参考にしてください。
英会話講師へ伝えたいこと・聞きたいこと
体験レッスンや最初のカウンセリングでは、TOEICスコアがあれば伝えてかまいません。ただし、点数だけでなく次の情報も共有すると、会話に合ったレッスンを組みやすくなります。
- いつ受験したスコアか
- 英語を話す機会がどのくらいあるか
- 話せるようになりたい具体的な場面
- 会話で困る瞬間は何か
- 点数と会話のどちらを優先したいか
講師には「私の会話力では、今どこが強く、何が課題ですか」「TOEICの知識を会話で使うには、どんな練習が必要ですか」と尋ねてみましょう。進捗を具体的に聞く方法は、英会話講師に上達度を聞く方法でも紹介しています。
しゅみすけ<br>(大山俊輔)
目標によって使う物差しを変えよう
昇進や転職などでTOEICスコアが必要なら、点数は明確な目標になります。一方、海外旅行で困らない、外国人の同僚と雑談する、英語で自分の意見を伝えることが目的なら、場面ごとの実行力も測る必要があります。
たとえば「ホテルで希望を伝えられた」「一分間の雑談を続けられた」「聞き取れないときに聞き返せた」といった行動を記録します。小さな変化の見つけ方は、英会話が上達している10のサイン、目標の調整は英会話の目標を達成できないときの見直し方へつなげて考えられます。
まとめ|TOEICは参考資料、会話力はレッスンでも測ろう
TOEICスコアと英会話力には重なる部分がありますが、同じものではありません。点数が高くても話す経験が少なければ詰まることがあり、点数が低くても簡単な英語で対話を続けられる人はいます。
英会話教室では、返答の速さ、自分の情報を伝える力、質問、聞き返し、自己修正などを実際の会話で確認しましょう。テストの結果を否定するのでも、会話の感覚だけに頼るのでもなく、目的に合った複数の物差しを持つことが上達を正しく見る近道です。



