英会話を始めたいと思ったとき、「まず単語を覚えるべき?」「中学文法をやり直すべき?」「独学でも話せる?」「英会話教室へ通ったほうが早い?」と、入口で迷う方は少なくありません。
そもそも英会話とは、英単語や文法をたくさん知っていることではありません。自分が伝えたいことを英語で表し、相手の言葉を受け取り、分からないときには聞き返しながらやり取りを続けることです。
大人の初心者に必要なのは、英語を全部学び直してから会話へ進むことではありません。知っている簡単な英語を口から出し、実際のやり取りで足りなかった部分を学び直す。この往復を作ることが、英会話の現実的な始め方です。
この記事では、「英会話とは何か」という基本から、英会話に必要な力、大人初心者向けの勉強法、独学・アプリ・オンライン・教室の使い分け、自分に合う英会話教室の選び方までを一つの地図として解説します。
しゅみすけ(大山俊輔)
20年以上、大人の初心者の方と接してきて感じるのは、「英語を知らない」より「知っている英語を会話の場で取り出せない」ことに悩む方が多いということです。英会話は知識を増やすだけの勉強ではなく、知っている言葉を人とのやり取りで使える形へ変えていく練習です。
「b わたしの英会話」創業者。YouTubeでも大人の英語学習について発信しています。
英会話とは?英語の知識を使って「やり取りすること」
英会話は、英語を使った会話です。ただし、用意した英文を一方的に話せれば終わりではありません。実際の会話では、次の動きが連続します。
- 自分から話し始める
- 相手の返答を聞く
- 返答に合わせて反応する
- 質問したり、聞き返したりする
- 言い直しながら意味を伝える
たとえば、I like movies. と言えた後に、相手から What kind of movies do you like? と聞かれたとします。質問を聞き取り、Comedy. や I like old movies. と返し、How about you? と聞き返せれば、短い英語でも会話は続きます。
反対に、難しい単語を知っていても、質問を受けた瞬間に止まってしまえば、知識がまだ会話で使える状態になっていません。英会話の上達は、難しい英語を話すことよりも、知っている英語を早く取り出し、相手に合わせて使い直せるようになることから始まります。
この考え方を具体的な練習へ落とし込みたい方は、英会話が上達するコツは?大人初心者が先に変えたい7つのことも参考にしてください。
英語学習と英会話は何が違う?
英語学習は、単語・文法・発音・読解・リスニングなど、英語に関する学び全体を指します。英会話はその中でも、相手とのやり取りに英語を使う活動です。
| 学ぶもの | 主な目的 | 代表的な練習 |
|---|---|---|
| 英単語・文法 | 意味や英文の仕組みを知る | 教材、問題演習、例文確認 |
| リスニング・発音 | 音を聞き分け、伝わる音を作る | 音読、聞き取り、まねる練習 |
| 英会話 | 知識と音を実際のやり取りで使う | 質問、返答、聞き返し、言い直し |
両者は対立するものではありません。単語や文法を学び、それを会話で使い、言えなかった部分をもう一度学ぶ。この循環が必要です。
「英語を勉強しているのに話せない」という状態は珍しくありません。読むときは英文が目の前にありますが、会話では伝えたい意味から自分で英語を呼び出す必要があるからです。詳しくは英語は読めるのに話せない大人へで解説しています。
英会話に必要な5つの力
1.伝えたい内容を小さくする力
初心者が日本語と同じ詳しさで話そうとすると、英文が長くなり途中で止まりやすくなります。「昨日は久しぶりに友人と銀座で食事をしました」を、まず I had dinner with my friend. と小さくする。これも大切な会話力です。
2.知っている単語と文法を取り出す力
会話でよく使うのは、I am、I like、I want、I went、Can I などの基本的な形です。知識を増やすだけでなく、自分の仕事・趣味・家族・週末の出来事へ置き換えて、見ずに言う練習が必要です。
3.相手の言葉を大まかに受け取る力
一語ずつ日本語へ訳すのではなく、「旅行について質問された」「理由を聞かれた」のように、相手が何を知りたいのかをつかみます。すべて聞き取れなくても、会話は続けられます。
4.聞き返し、確認する力
実際の英会話では、聞き取れないことがあります。Could you say that again? や Do you mean …? のような表現を使い、会話を止めずに確認する力も英会話の一部です。
5.間違えても言い直す力
英会話の目的は、毎回正しい英文を完成させることではなく、相手と意味を共有することです。間違いに気づいたら言い直し、別の簡単な表現を試す。初心者ほど、この経験が次の会話につながります。
大人初心者の英会話は何から始める?基本の5ステップ
- 英語を使いたい場面を一つ決める
旅行、仕事、趣味などから、最初に話したい場面を小さく選びます。 - その場面で言いたい内容を日本語で整理する
自己紹介なら、名前・仕事・住んでいる場所・趣味程度から始めます。 - 知っている単語と基本文法で短い英文を作る
最初から自然で高度な表現を探さず、意味を渡せる一文を作ります。 - 英文を見ずに声に出す
読む練習だけで終わらせず、場面を思い浮かべて自分で取り出します。 - 人との会話で使い、足りない部分を戻って学ぶ
通じなかった表現や聞き取れなかった質問を、次の学習材料にします。
具体的な学習順序や最初の1ヶ月の進め方は、既存の大人初心者の英会話は何から始める?完全ガイドにまとめています。会話練習だけを段階的に知りたい場合は、英会話の練習は何から始める?話せるようになる5段階をご覧ください。
英会話の勉強法|インプットとアウトプットを往復する
英会話では、「覚えてから使う」だけでなく、「使ってから必要なことを覚える」流れも大切です。
| 段階 | 取り組むこと | 初心者向けの例 |
|---|---|---|
| 準備する | 単語・文法・音を確認する | 自己紹介の短い英文を3つ作る |
| 取り出す | 見ずに声へ出す | 名前、仕事、趣味を順不同で話す |
| やり取りする | 人を相手に使う | 質問を受け、もう一文足す |
| 振り返る | 言えなかったことを確認する | 必要だった表現を一つだけ調べる |
| 使い直す | 次の会話でもう一度試す | 修正した表現で同じ話題を話す |
教材を増やし続けるより、一度学んだ短い表現を別の話題でも使い直すほうが、会話で取り出せる言葉は増えていきます。単語と文法のどちらから始めるか迷う方は、英会話初心者は単語と文法のどちらから始める?も参考になります。
独学・アプリ・オンライン英会話・英会話教室の違い
英会話の学び方に唯一の正解はありません。大切なのは、それぞれが得意な役割を知ることです。
| 学び方 | 得意なこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 教材・独学 | 自分のペースで知識を整理できる | 実際の会話やフィードバックが不足しやすい |
| アプリ・AI英会話 | 短時間でも反復しやすく、一人で練習できる | 人を前にした緊張や予想外の返答とは異なる |
| オンライン英会話 | 場所を選ばず、会話回数を増やしやすい | 初心者は教材・講師・予約を自分で選ぶ負担がある |
| 通学型英会話教室 | 対面で会話し、相談や修正を受けやすい | 通いやすさ、料金、予約制度を確認する必要がある |
独学で基礎を準備し、アプリで短く反復し、オンラインや教室で人との会話を試すなど、組み合わせても構いません。判断に迷う場合は、英語は独学と英会話教室のどちらがいい?、オンライン英会話と英会話教室はどっちがいい?もご覧ください。
英会話教室はどんな人に向いている?
英会話教室は、次のような方に役立ちやすい環境です。
- 一人では声に出す練習が後回しになる
- 人を前にすると緊張して言葉が出なくなる
- 自分の英語が伝わるか、その場で確認したい
- 仕事・旅行・趣味など、自分の目的に合わせて練習したい
- 学習を続けるための予定と場所がほしい
ただし、教室へ通うだけで自動的に話せるようになるわけではありません。レッスンを「教わる時間」だけでなく、「準備した英語を試し、次の課題を見つける時間」として使うことが重要です。教室の仕組みや料金、効果を詳しく知りたい方は、英会話教室とは?料金・効果・選び方・通い方を総合解説へ進んでください。
大人初心者向け英会話教室の選び方
目的に合う内容を練習できるか
「日常英会話コース」という名前だけで判断せず、自分が話したい仕事、旅行、趣味、家族などの内容をレッスンへ持ち込めるか確認します。
自分が話す時間を確保できるか
会話力を伸ばすには、自分で言葉を取り出す時間が必要です。講師の説明を聞く時間だけでなく、自分がどのくらい話せるかを体験レッスンで見ましょう。
初心者への支援があるか
日本語で相談できるか、教材の進め方を説明してもらえるか、分からないときに待ってもらえるかなど、初心者が安心して失敗できる環境かを確認します。
講師との相性を調整できるか
講師の国籍だけでなく、話す速さ、訂正の量、質問の仕方、初心者への慣れを見ます。講師を固定・変更・選択できる制度も確認しましょう。詳しくは英会話教室の講師はどう選ぶ?で解説しています。
半年後も続けられる条件か
場所、曜日、予約方法、振替、料金総額まで含めて考えます。「良い教室」より、「自分が無理なく通い続けられる教室」を選ぶことが大切です。
マンツーマン・グループ・オンラインなどを含めた詳しい比較は、英会話教室の完全ガイドをご覧ください。全くの初心者で体験レッスンにも不安がある方には、英会話教室は全くの初心者でも大丈夫?もおすすめです。
英会話についてよくある質問
英会話は中学英語だけでもできますか?
日常的な自己紹介、旅行、趣味についての短いやり取りなら、中学英語の基本で多くを表現できます。ただし、知識として理解するだけでなく、自分の内容へ置き換えて口から出す練習が必要です。
英会話は何ヶ月で話せるようになりますか?
「話せる」の範囲によって異なります。自己紹介や旅行の一場面なら数ヶ月でも変化を感じられますが、幅広い話題へ対応するには継続が必要です。期間より、できる場面を一つずつ増やして考えましょう。詳しくは英会話は何ヶ月で話せるようになる?をご覧ください。
英会話は週1回でも効果がありますか?
週1回でも、レッスンの間に短い復習と取り出す練習を行えば効果を活かせます。反対に、週1回のレッスンだけで英語へ触れる場合は、前回の内容を思い出す時間が長くなりやすくなります。
英語をほとんど忘れていても始められますか?
始められます。最初からすべてを学び直すのではなく、自分が言いたい短い内容を作り、そのために必要な単語と文法へ戻る方法が現実的です。
まとめ|英会話は「知っている英語」を人とのやり取りへ変える練習
英会話とは、難しい英語を披露することではありません。自分の言葉を相手へ渡し、相手の言葉を受け取り、聞き返しや言い直しをしながら会話を続けることです。
大人初心者は、英語全体をやり直してから話そうとする必要はありません。まず一つの場面を決め、知っている簡単な英語を声に出し、人とのやり取りで使ってみてください。言えなかったことが見つかったら、そこへ戻って学び、次の会話でもう一度試します。
学ぶ、使う、振り返る、使い直す。この小さな循環が続けば、「知っている英語」は少しずつ「自分で使える英語」へ変わっていきます。


