しゅみすけ(大山俊輔)
20年間、大人の初心者の方を見てきて感じるのは、上達が早い人ほど難しい教材へ急がないことです。知っている短い英語を、自分の話として何度も使い直す。その積み重ねが、会話で言葉が出る感覚につながります。
「b わたしの英会話」創業者。YouTubeでも大人の英語学習について発信しています。
英会話の上達とは「難しい英語を話すこと」ではない
初心者の頃は、語彙や文法が増えるほど英語力が上がるように感じます。もちろん、知識は必要です。ただし、知っていることと、会話で使えることは同じではありません。 たとえば、「昨日は家で映画を見ました」と伝えたい場面で、難しい表現を知っていても、一文目が出なければ会話は始まりません。一方、簡単な「I stayed home and watched a movie.」をすぐ言えれば、相手は「What did you watch?」と会話を続けられます。 英会話の上達は、次のような変化として表れます。- 以前より短い時間で言葉が出る
- 一文だけで終わらず、もう一文足せる
- 分からないときに聞き返せる
- 間違えても言い直して会話を続けられる
- 同じ表現を別の話題でも使える
コツ1.難しい英語より「自分が使う簡単な英語」を選ぶ
大人は日本語で複雑なことを考えられるため、それと同じ内容を英語でも表現しようとします。しかし、最初から日本語を完全に翻訳しようとすると、文が長くなり、途中で止まりやすくなります。 まずは、自分が日常でよく話す内容を、簡単な英語へ小さくしましょう。- 仕事について細かく説明する前に「I work in sales.」
- 趣味への思いを語る前に「I like watching movies.」
- 週末の出来事を全部話す前に「I went shopping with my friend.」
コツ2.「見て分かる」から「見ずに言える」へ変える
テキストを見れば意味が分かり、音読もできる。それでも会話になると出てこないのは不思議ではありません。 音読では、目の前の英文が答えを教えてくれます。一方、会話では「昨日したことを伝えたい」という意味から、自分で英語を呼び出さなければなりません。 練習の最後に、次の一工程を足してみましょう。- 例文を見て意味と形を確認する
- 声に出して数回読む
- テキストを閉じる
- 場面だけを思い浮かべて言う
コツ3.新しい教材より「同じ表現の再使用」を増やす
一度分かった表現を「もう勉強した」と考え、次のページへ進み続けると、知識は増えても会話で使える表現は増えにくくなります。 新しい一文を10個覚えるより、1つの型を自分の話に合わせて変えてみましょう。 たとえば「I’m looking forward to ~.」なら、旅行、週末、友人との食事、イベントなど、異なる話題で使えます。翌週のレッスンでも、意識してもう一度使ってください。 フレーズを自分の言葉へ変える方法は、英会話フレーズは丸暗記しても話せない?で詳しく紹介しています。
コツ4.間違えないことより「会話を止めない」ことを優先する
初心者は、話す前に文法や発音を頭の中で確認しがちです。正確に話そうとする姿勢は大切ですが、確認に時間をかけすぎると、沈黙が長くなり、話すこと自体が怖くなります。 会話中は、まず意味を渡す。その後で必要なら言い直す、という順番に変えてみましょう。- 単語が分からなければ、知っている言葉で説明する
- 聞き取れなければ「Could you say that again?」と聞く
- 文が長くなったら、二つの短い文に分ける
- 間違いに気づいても、一度最後まで言ってから直す
コツ5.勉強時間より「英語に戻る回数」を増やす
「毎日1時間できなかったから、今日はゼロ」と考えると、忙しい大人の学習は止まりやすくなります。 まとまった1時間だけを学習と考えず、短く英語へ戻る回数を増やしましょう。- 朝に昨日の一文を声に出す
- 移動中に短い音声を聞く
- 昼休みに週末の予定を一文作る
- 夜に何も見ず、朝の一文をもう一度言う
コツ6.先生任せにせず「話す材料」をレッスンへ持ち込む
英会話教室へ通っていても、毎回先生から質問されるのを待っていると、自分が本当に話したい内容を練習しにくくなります。 レッスン前に、話したいことを一つだけ決めておきましょう。- 先週末にしたこと
- 最近見た映画やドラマ
- 仕事で起きた小さな出来事
- 次の休みにしたいこと
コツ7.上級者ではなく「昨日の自分」と比べる
流暢な先生、海外経験のある受講者、SNSで英語を話す人と比べると、自分の進歩が小さく見えます。しかし、スタート地点も学習時間も必要な英語も違う相手との比較では、適切な評価はできません。 初心者は、次のような小さな変化を記録しましょう。- 先月言えなかった自己紹介が言えた
- 一文の後に理由を足せた
- 先生の質問を一度で理解できた
- 間違えても笑って言い直せた
- 以前覚えた表現を別の会話で使えた
7つ全部を一度に変えなくてよい
この記事を読み、明日から7項目すべて実行しようとすると、新しい「やることリスト」が増えるだけです。 まずは一つ、今の自分に最も必要な変化を選んでください。| 今の悩み | 先に変えたいこと |
|---|---|
| 教材が増え続ける | コツ1・3:簡単な英語を繰り返す |
| 読めるのに話せない | コツ2:見ずに取り出す |
| 間違いが怖くて黙る | コツ4:会話を止めない |
| 忙しくて続かない | コツ5:戻る回数を増やす |
| レッスンで話せない | コツ6:話す材料を持ち込む |
| 上達を感じられない | コツ7:小さな変化を記録する |
英会話教室を上達の場として活かすには
英会話教室は、通うだけで自動的に英語力を上げてくれる場所ではありません。しかし、独学では作りにくい「人に向かって英語を取り出す場」として使えば、大きな価値があります。 レッスン前に一文を準備し、実際に使い、先生から質問を受け、より自然な表現へ直してもらう。そして次回、同じ表現をもう一度使う。この循環を作ると、レッスンと自習がつながります。 復習方法に迷う方は、初心者向け英会話レッスンの復習方法も参考にしてください。まとめ:努力を増やす前に、英語の使い方を変えよう
英会話が上達するコツは、特別な才能や、毎日何時間もの勉強ではありません。- 自分が使う簡単な英語を選ぶ
- 見ずに言えるところまで取り出す
- 同じ表現を別の場面でも使う
- 間違えても会話を止めない
- 短くても英語へ戻る回数を増やす
- 話す材料をレッスンへ持ち込む
- 昨日の自分との小さな差を見る




