大人になってから英語を学び直そうと思ったとき、手軽に始められるのが英語学習アプリです。スマートフォンがあれば、通勤中や家事の合間にも単語・文法・リスニングなどを勉強できます。
一方で、「毎日アプリを開いているのに、英語を話せるようになった気がしない」「レベルが上がるほど何をすればよいか分からなくなった」という方も少なくありません。
結論からいえば、英語学習アプリは大人の学び直しに十分使えます。ただし、アプリだけですべてを完成させようとすると、現在地の判断、学習内容の優先順位、会話で使う練習などで詰まりやすくなります。
この記事では、アプリが得意なことと苦手なこと、独学で止まりやすいポイント、初心者が無理なく続ける使い方を解説します。学び直し全体の順番を先に知りたい方は、大人の英語学び直し初心者向けロードマップもあわせてご覧ください。
大人の英語学び直しにアプリが向いている理由
短い時間から始められる
仕事や家事がある大人にとって、毎日まとまった勉強時間を取るのは簡単ではありません。アプリなら5分、10分といった短い時間でも取り組めます。
学び直しの最初は、難しい内容を長時間こなすことより、英語に触れる日を増やす方が大切です。「朝食後に10分」「帰宅電車の中で1レッスン」のように、すでにある習慣と組み合わせると続けやすくなります。
音声をすぐに確認できる
紙の教材と比べたとき、アプリの大きな強みは音声を繰り返し聞きやすいことです。単語や例文の発音を聞き、そのまま声に出してまねできます。再生速度を変えられるアプリなら、速すぎる音声をゆっくり確認することも可能です。
英会話を目標にするなら、画面を見て正解を選ぶだけで終わらず、例文を一度は声に出しましょう。「分かる英語」を「口から出せる英語」に近づける練習になります。
復習のタイミングを作りやすい
英単語や表現は、一度見ただけでは定着しません。復習機能のあるアプリは、間違えた問題や覚えていない項目を再度表示してくれます。
ただし、連続学習日数や獲得ポイントを増やすこと自体が目的にならないよう注意が必要です。数字は継続のきっかけとして使い、「昨日覚えた表現を今日は見ずに言えるか」まで確認しましょう。
アプリで学びやすいこと・学びにくいこと
英語学習アプリにはさまざまな機能がありますが、すべての学習に同じように向いているわけではありません。
アプリで学びやすいこと
- 中学英語レベルの単語と文法の復習
- 短い英文のリスニング
- 発音や音読の反復練習
- クイズ形式での理解度チェック
- 間違えた問題の繰り返し
- 毎日の学習記録
答えが比較的明確で、短い単位で繰り返せる学習はアプリと相性がよい分野です。
アプリだけでは学びにくいこと
- 自分の目的に合う学習順序を決めること
- その場で相手の話を聞き、考えて返すこと
- 言いたい内容を自分の英語に組み立てること
- 伝わらなかったときに言い換えること
- 癖や弱点について具体的な助言を受けること
- 緊張する相手との会話に慣れること
アプリの問題に正解できても、実際の会話では相手が予想外のことを言います。英会話を目標にするなら、知識を入れる練習に加えて、相手とやり取りする練習が必要です。

大人がアプリ独学で詰まりやすい6つのポイント
1.アプリを選ぶことに時間を使いすぎる
無料・有料を含めて多くのアプリがあるため、比較しているうちに勉強が始まらないことがあります。複数を同時に使うと、似た内容を最初から何度も繰り返し、どれも途中で終わりがちです。
最初は、目的に合うアプリを一つ選び、2週間続けてみましょう。単語、文法、リスニングを別々のアプリで始めるより、まず一つの学習コースを進める方が現在地を把握しやすくなります。
2.自分に合うレベルが分からない
簡単すぎる問題は進んでいる気分になりますが、学び直しにはつながりにくいことがあります。反対に、難しすぎる教材では知らない単語や文法が多く、解説を読んでも理解できず挫折しやすくなります。
目安は、解説を読めば理解でき、問題の7〜8割程度に取り組めるレベルです。学生以来長く英語を使っていない方は、大人の学び直しは中学英語からで大丈夫な理由も参考にしてください。
3.正解することが目的になる
選択問題では、英文全体を理解していなくても単語や消去法から正解できる場合があります。正解数が増えても、「自分で同じ文を言ってみてください」と言われると出てこないことがあります。
一問終わるたびに、正解した英文を画面から目を離して言ってみましょう。単語を一つだけ自分用に入れ替えるのも効果的です。たとえば、“I went to the station.”を学んだら、stationをofficeやsupermarketに変えて声に出します。
4.インプットだけで安心してしまう
単語を覚える、文法解説を読む、音声を聞くといったインプットは欠かせません。しかし、英語を話したいなら、自分で文を作って口に出すアウトプットも必要です。
アプリで15分学んだら、最後の3分は「今日覚えた表現を使って、自分について3文話す」時間にしましょう。録音して聞き返すと、言えなかった箇所が次の復習内容になります。
5.間違いの原因が分からない
アプリは正誤や模範解答を示してくれますが、「なぜ自分はいつもここで迷うのか」まで分からない場合があります。語順を理解していないのか、単語が足りないのか、音が聞き取れていないのかによって、必要な練習は違います。
同じ種類の問題を3回以上間違えたら、答えだけ覚えず、原因を一言でメモしましょう。「三単現のsを忘れる」「疑問文の語順が曖昧」「音では知っている単語だと分からない」のように書くと、復習の焦点が見えてきます。
6.実際の会話へ移る時期が分からない
「もっと文法を覚えてから」「単語を何千語覚えてから」と考え、いつまでも会話練習を始められない方がいます。しかし、会話は知識が完成してから受ける試験ではなく、練習しながら身につける技能です。
自己紹介や一日の出来事を短い文で話せるようになったら、会話練習を始めて構いません。言えなかった経験が、次に覚えるべき単語や表現を教えてくれます。
無料アプリと有料アプリはどちらがよい?
学び直しを始める段階では、無料アプリでも十分試せます。まずは操作のしやすさ、解説の分かりやすさ、音声の聞きやすさを確認しましょう。
有料版を検討する目安は、広告を消したいからだけではなく、次の機能が自分の学習に必要かどうかです。
- 自分のレベルに合った学習コース
- 詳しい文法解説
- 間違いをまとめた復習機能
- 音声認識や発音チェック
- 会話練習や講師からの添削
- 進捗を確認できる学習記録
年額プランは割安に見えますが、いきなり長期契約せず、無料期間や月額プランで続けられるかを確認すると安心です。
学び直し用アプリを選ぶ5つの基準
1.学ぶ目的が一致している
旅行英会話、仕事、資格試験では必要な学習が異なります。「人気があるから」ではなく、自分が英語を使いたい場面に合うコースがあるかを確認しましょう。
2.解説を日本語で理解できる
基礎を学び直す時期には、問題数の多さより、間違えた理由が分かる解説が重要です。英文法に自信がない方は、短くても日本語で要点を説明してくれるものが向いています。
3.音声を繰り返し再生しやすい
再生、停止、速度変更、区間リピートが簡単かを確認します。操作が複雑だと、音読やリスニングの反復をしなくなりやすいためです。
4.一回の学習量が多すぎない
一回10〜15分程度で区切れると、忙しい日にも続けやすくなります。少量でも、毎回「復習して声に出す」ところまで終えられる構成を選びましょう。
5.自分で作った英文も練習できる
用意された問題だけでなく、録音、添削、会話など、自分の言葉を使える機能があると実践へつなげやすくなります。ただし、自動判定の結果だけを絶対視せず、伝わり方に迷うときは人にも確認しましょう。
アプリを使った初心者向け1週間の学習例
最初から毎日違うことをする必要はありません。同じ内容を繰り返し、「分かった」から「使える」へ進めます。
- 月曜日:新しい単語と短い例文を10分学ぶ
- 火曜日:同じ例文の文法を確認し、音読する
- 水曜日:音声だけを聞き、聞こえた文をまねする
- 木曜日:例文の単語を自分用に入れ替える
- 金曜日:画面を見ずに3〜5文話して録音する
- 土曜日:間違えた問題だけを復習する
- 日曜日:休むか、短い会話で今週の表現を使う
1日15分でも、見るだけで終わらず、聞く・声に出す・自分の文を作るまで含めることがポイントです。教材を増やしすぎる方は、大人初心者が挫折しない学び直し教材の選び方もご覧ください。
アプリ独学に人のサポートを足したいサイン
独学が悪いわけではありません。自分で進められ、目的に必要な練習ができているなら、アプリは便利な学習手段です。ただし、次の状態が続くなら、人からのフィードバックを加えることで進みやすくなる場合があります。
- 1〜2か月続けても、何を話せるようになったか分からない
- 同じ文法や発音で何度も迷う
- 問題には正解できるが、自分のことを英語で話せない
- アプリを頻繁に変えてしまう
- 自分に必要な学習の順番を決められない
- 外国人を前にすると、知っている表現も出てこない
人のサポートを足す方法は、英会話教室だけではありません。単発の添削、オンラインレッスン、学習相談などから試すこともできます。独学と教室の違いは、英語を基礎からやり直すなら独学と英会話教室のどちらがよいかで詳しく比較しています。
アプリと英会話レッスンは役割を分けると使いやすい
英会話教室に通う場合も、アプリをやめる必要はありません。次のように役割を分けると、それぞれの良さを生かせます。
- アプリ:単語、文法、音声の反復、短時間の毎日学習
- レッスン:実際の会話、質問、間違いの修正、自分に合う課題の確認
レッスン前にアプリで表現を復習し、レッスン中に使い、終了後に言えなかった文をアプリやノートで練習する。この循環を作ると、教室に通う時間以外にも学びを継続できます。
人前で間違えることに不安がある大人初心者には、自分のペースで質問しやすいマンツーマンレッスンも選択肢です。初心者向け個人レッスンの特徴と選び方も参考にしてください。
よくある質問
無料の英語学習アプリだけでも学び直せますか?
単語・文法・短いリスニングなどの基礎復習は無料アプリでも始められます。ただし、会話を目標にするなら、音読、録音、自分で文を作る練習も加えましょう。必要に応じて人との会話練習を取り入れます。
アプリは何個使えばよいですか?
初心者は、まず中心に使うアプリを一つに絞るのがおすすめです。不足する機能が明確になってから、発音や会話などの補助アプリを追加しましょう。
1日何分勉強すればよいですか?
最初は1日10〜15分でも構いません。長時間を週末だけ行うより、短時間でも英語に触れる日を増やし、復習と音読まで行う方が習慣にしやすくなります。
発音判定の点数が低いと、発音が通じないのでしょうか?
自動判定は練習の目安になりますが、端末や周囲の音にも影響されます。点数だけで判断せず、自分の録音を聞き、実際の会話で伝わるかも確認しましょう。
アプリで何か月勉強してから英会話を始めるべきですか?
決まった期間はありません。自己紹介や日常の短い文を練習し始めた段階で、会話も並行して構いません。準備が完成するのを待つより、言えなかった内容を次の学習材料にする方が実践的です。
まとめ|アプリは「毎日の基礎練習」に使い、会話へつなげよう
英語学習アプリは、忙しい大人が英語を学び直すための便利な道具です。短時間で始められ、単語・文法・音声を繰り返しやすいため、基礎の復習と毎日の習慣作りに向いています。
ただし、アプリを進めること自体が目的になると、実際に話す力との間に差が生まれます。正解した英文を声に出す、自分用の文に変える、録音する、人との会話で使うところまでを一つの学習にしましょう。
そして、何を学ぶべきか分からない、同じところで何度も止まる、自分の英語が伝わるか判断できないときは、独学の努力不足ではありません。アプリの得意範囲を越えたサインです。必要な部分だけ人のサポートを加え、無理なく学び直しを続けていきましょう。


