英会話教室の歴史|日本の英会話スクール・オンライン英会話業界の変遷

英会話教室が教室型からオンラインへ発展した歴史を表すイラスト

英会話教室は、いつごろから日本にあり、なぜ現在のように通学型・オンライン英会話・マンツーマン・英語コーチングなど、さまざまな形へ分かれていったのでしょうか。

日本の英会話学習は、戦後のラジオや教材を中心とした学びから、都市部の通学型教室、全国展開する大手スクール、インターネットを使ったオンライン英会話へと広がってきました。2020年代には、対面とオンラインを組み合わせる学び方も珍しくありません。

ただし、古い形が新しい形に完全に置き換わったわけではありません。ラジオ、書籍、対面レッスン、オンラインレッスンには、それぞれ異なる役割があります。英会話教室の歴史をたどると、現在これほど多くの選択肢がある理由も見えてきます。

この記事では、日本における英会話教室・英会話スクールの変遷を、社会、技術、働き方の変化とともに解説します。

しゅみすけ(大山俊輔)

僕自身、2006年から英会話スクールを運営してきました。この約20年だけを見ても、探し方は駅前の看板や情報誌から検索・口コミ・SNSへ、レッスンは教室だけからオンライン併用へ大きく変わりました。一方で、初心者が求める「安心して間違えられる場所」は、今もほとんど変わっていません。

「b わたしの英会話」創業者。英会話スクールと英語コーチングの運営経験をもとに、大人初心者の学び方を発信しています。

英会話教室の歴史を大きく4つの時代で見る

戦後から2020年代までの英会話教室の変遷を示す年表
日本の英会話学習は、教材中心から通学型、オンライン、対面とオンラインの併用へと選択肢を増やしてきました。
時代主な学び方背景
戦後〜1960年代ラジオ講座、書籍、学校外の語学講座海外情報への関心、英語教材の普及
1970〜1990年代通学型英会話教室、企業研修、グループレッスン海外旅行・留学・国際ビジネスの拡大
2000〜2010年代マンツーマン、低価格型、オンライン英会話インターネットと通信環境の普及
2020年代〜対面・オンライン・アプリ・コーチングの組み合わせコロナ禍、働き方の変化、学習目的の細分化

この区分は、ある年に業界全体が一斉に変わったという意味ではありません。新しい選択肢が加わり、学習者が目的や生活に合わせて選べるようになった流れを示しています。

戦後〜1960年代|英会話はラジオや教材で学ぶものだった

戦後の日本では、英語を日常的に話す機会は現在より限られていました。英語学習の中心は学校教育であり、学校外ではラジオ講座、書籍、新聞・雑誌の語学欄などが重要な入口でした。

当時の学習では、音声を聞いて繰り返す、会話文を暗唱する、テキストを読みながら発音するという方法が中心でした。現在のように外国人講師と気軽にビデオ通話をしたり、アプリで発音を判定したりする環境はありません。

一方、ラジオは日本全国へ同じ音声教材を届けられる画期的なメディアでした。住んでいる場所に関係なく英語の音へ触れられる点では、後のオンライン学習に通じる役割を果たしたともいえます。

1970〜1990年代|通学型の英会話教室が身近になる

海外旅行や留学、外資系企業との取引などが広がるにつれて、「試験のために読む英語」だけでなく、「外国人と話すための英語」への関心が高まりました。

都市部を中心に英会話教室が増え、ネイティブ講師とのグループレッスン、企業向け語学研修、目的別コースなどが提供されるようになります。やがて複数の校舎を持つスクールが駅前や商業エリアへ展開し、英会話教室は一部の専門家だけの場所ではなく、会社員や学生が仕事帰り・学校帰りに通う習い事として認知されていきました。

1998年度には、公正取引委員会が英会話教室等の広告・表示について調査しています。これは当時すでに、英会話教室が多くの消費者に利用されるサービス産業として広がっていたことを示す一つの資料です。

「駅前型」が広がった理由

  • 仕事帰りや学校帰りに通いやすかった
  • 外国人と対面で話せること自体に価値があった
  • 教材、レベル分け、予約制度をまとめて利用できた
  • 受付スタッフへ日本語で相談できた
  • 海外旅行、留学、仕事など目的別コースが増えた

教室という物理的な場所は、会話練習の場であると同時に、英語を学ぶ生活へ切り替えるスイッチにもなりました。

大手・中堅・地域密着・個人教室へ分かれていった

英会話教室が広がるにつれ、業界のプレイヤーも多様になりました。現在も、規模だけで単純に優劣を決めることはできません。

形態主な特徴向いているニーズ
全国展開する大手校舎数、教材、研修、予約制度が整いやすい複数拠点、幅広いコース、知名度を重視
中堅・専門型マンツーマン、資格、ビジネスなど得意分野が明確目的に合う専門性を重視
地域密着型生活圏内で通いやすく、受講者との距離が近い通いやすさ、継続的な相談を重視
個人教室・個人講師講師の考え方や教え方がサービスに強く反映される講師との相性、柔軟性を重視

詳しい違いは、英会話スクールとは?通学型・オンライン英会話・英語コーチングの違いでも解説しています。

2000年代|マンツーマンと初心者向け専門スクールが増える

グループレッスンが主流だった時代から、学習目的や性格に合わせた個別対応を求める人が増え、マンツーマン英会話も身近になりました。

グループでは発言するタイミングをつかみにくい人、仕事で特定の場面を練習したい人、自分のペースで基礎から学びたい人にとって、一対一のレッスンは合理的な選択肢です。

また、年齢、性別、英語レベル、職業、学習目的など、対象者を絞った専門型スクールも生まれました。すべての人へ同じサービスを提供するのではなく、「誰の、どの悩みを解決するのか」を明確にする流れです。

マンツーマン英会話の全体像を知りたい方は、形式・料金・選び方をまとめた記事もご覧ください。

2000〜2010年代|オンライン英会話が新しい選択肢になる

インターネット回線とパソコン、音声・映像通話サービスの普及により、離れた場所にいる講師と自宅から英会話レッスンを受けられるようになりました。日本では2000年代半ばからオンライン英会話サービスが現れ、2010年代に選択肢が急速に増えていきます。

とくに、日本と時差が小さく、英語を広く使うフィリピンの講師とインターネットでつなぐ仕組みは、早朝から深夜まで受講しやすく、通学型より料金を抑えやすいモデルとして普及しました。

オンライン英会話が変えたこと

  • 校舎のない地域からでも受講できる
  • 移動時間が不要になった
  • 短時間・高頻度で会話練習しやすくなった
  • 海外在住の講師から学べるようになった
  • 講師、教材、時間帯の選択肢が増えた

一方で、予約、講師選び、復習、通信環境の準備を自分で管理する必要もあります。自由度の高さが、そのまま全員にとっての続けやすさになるとは限りません。通学型との違いは、オンライン英会話と英会話教室はどっちがいい?で比較しています。

英会話教室は「話す場所」から「学習を支える場所」へ

教材や英語音声そのものは、インターネット上で低価格または無料でも手に入るようになりました。その結果、英会話教室に求められる役割も変化しています。

  • 自分の英語を実際に使う
  • 間違い方や伝わり方について反応をもらう
  • 自分に合う教材や練習方法を相談する
  • 学習を続けるペースをつくる
  • 一人では避けてしまう会話に挑戦する

単に英語の知識を受け取る場所ではなく、知っている英語を使い、改善し、継続するための環境へと役割が広がっています。

しゅみすけ(大山俊輔)

情報だけなら、昔より圧倒的に安く、たくさん手に入ります。それでも教室が残っているのは、初心者に必要なのが情報だけではないからです。「今日はここで話していい」「分からなくても待ってもらえる」という安全な環境には、教材とは別の価値があります。

しゅみすけ(大山俊輔)

コロナ禍|通学型スクールにもオンライン化が広がる

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、対面レッスンを休止・縮小し、オンラインへ切り替える教室が増えました。それまで校舎での対面を中心としていたスクールも、ビデオ通話、オンライン教材、予約システムなどを導入しました。

これはオンライン英会話だけが伸びたというより、通学型スクール自身がオンライン対応を持つ契機になった変化です。

その後、対面レッスンが再開しても、オンラインの仕組みは消えませんでした。体調、出張、育児、介護、天候などに合わせて受講方法を選べるため、対面とオンラインを組み合わせるハイブリッド型が定着していきます。

2020年代|英会話教室・オンライン・コーチングの境界が薄くなる

現在は、通学型スクールがオンラインレッスンを提供し、オンライン英会話が日本語カウンセリングを行い、英語コーチングが会話レッスンを組み込むこともあります。

名称だけでは、サービスの中身を判断しにくくなっています。

確認する項目見るポイント
会話練習発話時間、講師固定・選択、レッスン頻度
学習支援教材選定、計画、復習、進捗確認の範囲
受講方法対面、オンライン、併用、振替条件
相談体制日本語で相談できるか、担当者がいるか
料金入会金・教材費を含む期間総額

現在の英会話スクールの種類と選び方は、英会話とは?大人初心者向け総合ガイドと、英会話教室とは?料金・効果・選び方の総合解説から確認できます。

英会話教室の歴史から分かること

英会話教室の歴史は、教室がオンラインに置き換わってきた歴史ではありません。学習者が英語を必要とする場面が増え、技術が進み、選択肢が積み重なってきた歴史です。

  1. ラジオや教材によって、英語の音が全国へ届いた
  2. 通学型教室によって、外国人と話す場所が身近になった
  3. マンツーマンや専門型によって、個別の目的へ対応した
  4. オンライン英会話によって、場所と時間の制約が小さくなった
  5. 2020年代には、対面・オンライン・学習支援を組み合わせるようになった

大切なのは、最も新しい方法を選ぶことではなく、自分が英語を使い、無理なく続けられる環境を選ぶことです。対面には対面の、オンラインにはオンラインの役割があります。

オンライン英会話の流れも知りたい方へ: オンライン英会話業界はいつからある?誕生と成長の歴史では、Skype、フィリピン人講師モデル、スマホ、コロナ禍、AIまでを年表で整理しています。

参考にした公的資料

※英会話教室業界全体の統一的な「開始年」は存在しないため、本記事では公的資料で確認できる政策・社会的背景と、各時代に広がった学習形態をもとに整理しています。


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