英会話教室はいつからある?日本の英会話スクールの歴史

戦後から現代まで日本の英会話教室の変化を描いたイラスト

「英会話教室って、日本ではいつからあるの?」

英語を教える学校や私塾は明治期から存在しましたが、現在のように一般の社会人が、仕事・旅行・趣味のために通う民間の英会話スクールが形を整えたのは、主に戦後です。

ただし、全国一斉に同じ年から始まったわけではありません。国際文化交流の拠点、小規模な教室、総合語学学校、駅前の大手スクール、マンツーマン専門校、オンライン英会話が、時代ごとに重なりながら市場をつくってきました。

この記事では、英会話教室の「最初」をひとつに決めるのではなく、誰が、どこで、どのように英会話を学べるようになったかという視点から、日本の英会話スクール史を整理します。業界全体を俯瞰したい方は、先に英会話教室の歴史|日本の英会話スクール・オンライン英会話業界の変遷をご覧ください。

先に結論

  • 英語を教える場は明治期からあった
  • 現代につながる民間語学教育は1950〜60年代に基盤が形成された
  • 1970〜90年代に駅前型・全国展開型の英会話スクールが拡大した
  • 1990年代以降はマンツーマンや目的別コースが成長した
  • 2000〜10年代にオンライン型が広がり、コロナ禍でハイブリッド化が加速した

英会話教室の始まりを「明治」と言い切れない理由

幕末から明治にかけて、英語を学ぶ学校や私塾、外国人教師による教育はすでに存在していました。しかし、その主な目的は近代化に必要な学問・制度・文献を理解すること、外交や貿易を担う人材を育てることでした。

現代の英会話教室は、一般の生活者が自分の目的で申し込み、継続的に会話を練習する民間サービスです。そのため、日本の英語教育史と英会話教室業界史は、つながってはいるものの同じではありません。

日本人が「話す英語」を求めるようになった背景は、日本の英会話の歴史|明治・戦後からオンライン英会話までで詳しくたどっています。

1950〜60年代:戦後の国際交流と民間語学教育の基盤

戦後、日本が国際社会との接点を回復していくなかで、英語を実際に聞き、話す必要が高まりました。放送による語学学習に加え、外国人講師や民間教育機関と直接学ぶ場が増えていきます。

代表的な歩みを見ると、ブリティッシュ・カウンシルは日本で1953年に活動を開始しました。ECCは1962年に大阪で前身となる「塾英語クラブ」を創業し、1964年に英会話学校「大阪外語学院」を開講。ベルリッツは1966年に日本支社として活動を始めています。

もちろん、この3者より前や同時期にも地域の教室、宣教師・外国人によるレッスン、企業向けの語学研修などがありました。したがって「日本初の英会話教室はここ」と単純には決められませんが、1950〜60年代は、現在につながる民間英会話教育の基盤が見え始めた時期といえます。

しゅみすけ(大山俊輔)

しゅみすけ(大山俊輔)

業界の歴史を調べるとき、「最初の1校」を決めたくなるんですが、実際には地域の小さな教室や個人レッスンも並行していました。英会話教室は、ひとつの会社が発明したというより、社会の国際化に合わせて各地から育ったサービスなんです。

1970〜90年代:駅前型スクールと全国ブランドの時代

1964年の海外観光渡航自由化、高度経済成長、1970年の大阪万博などを背景に、海外旅行や外国文化への関心が高まりました。企業の海外進出も進み、英会話は一部の専門職だけでなく、会社員や学生、主婦層にとっても憧れと実用の両方を持つ習い事になります。

1973年には、後のイーオンにつながる英会話教室「アンビック」が岡山県で設立されました。各社が拠点を増やし、駅に近い教室、外国人講師、グループレッスン、海外旅行や留学を意識したコースといった、後の「駅前留学」型につながる仕組みが整っていきます。

テレビCM、電車広告、雑誌広告も大きな役割を果たしました。英会話教室は、必要に迫られた人だけが行く特殊な場所から、仕事帰りや学校帰りに通う身近なスクールへ変わっていきます。

1950年代から2010年代以降まで英会話教室の形の変化を示した図
英会話教室は、小規模な教室から駅前型、マンツーマン、オンライン・ハイブリッド型へと選択肢を広げてきました。

英会話教室が「駅前」に増えた理由

英会話は、週1回以上の継続利用が前提になりやすいサービスです。そこで大切になるのが、仕事や学校の帰りに立ち寄れること。多くの路線が集まり、人の流れが大きい駅前は、受講者にとっても運営会社にとっても合理的な立地でした。

また、駅前の看板は広告としても機能します。「ここに英会話教室がある」と毎日目にすることで、海外旅行や転職、昇進などのタイミングに思い出してもらえるからです。

一方、駅前型には賃料や広告費がかかります。そのコストを多くの受講者で支えるため、大人数・少人数のグループ制、固定時間割、回数契約など、運営を標準化する仕組みも発達しました。

1990〜2000年代:マンツーマンと目的別レッスンが成長

市場が拡大すると、学習者の不満や目的も細分化します。「グループだと話す時間が少ない」「海外赴任まで時間がない」「自分の仕事に合わせて練習したい」といったニーズに応える形で、マンツーマンや目的別コースが伸びました。

マンツーマン専門校の代表例では、Gabaが1995年の創業以来、1対1に特化したレッスンを提供しています。講師や時間を選べる仕組み、カウンセラーによる学習支援など、レッスン以外の体験もサービスの差になりました。

同じ「英会話教室」でも、大手総合型、マンツーマン専門、地域密着型、個人教室、企業研修型など、プレイヤーの構成がはっきり分かれてきたのもこの時期です。

マンツーマンの特徴は、マンツーマン英会話の完全ガイドで詳しく整理しています。

2000年代の再編:大きいスクールなら安心、とは限らなくなった

英会話市場が拡大する一方で、急速な多店舗化、長期・高額な前払い契約、強い販売手法などが問題になるケースもありました。大手事業者の経営破綻や教室閉鎖は、受講者に「知名度だけで選んでよいのか」という問いを突きつけます。

この経験から、契約期間、支払方法、中途解約、振替、講師変更、運営会社の説明姿勢などを事前に確認する重要性が広く認識されるようになりました。

英会話教室は一定の条件を満たすと、特定商取引法上の「特定継続的役務提供」の対象になります。契約書面やクーリング・オフ、中途解約など、学習内容以外のルールも選択時の重要な比較項目です。

2000〜10年代:オンライン英会話が価格と距離を変えた

ブロードバンド、Webカメラ、通話ソフトの普及によって、海外にいる講師と自宅から話すオンライン英会話が成長しました。教室物件を全国に持たなくてもサービスを提供できるため、対面型より低い料金や高い受講頻度を実現しやすくなります。

これにより、地方在住者、子育て中の人、早朝・深夜に学びたい人にも選択肢が広がりました。一方で、予約や学習管理を自分で続ける必要がある、講師や通信品質に差がある、初心者は画面越しの会話に不安を感じやすい、といった課題もあります。

対面型との違いは、オンライン英会話と英会話教室の違いをご覧ください。

2020年代:コロナ禍を経てハイブリッド型へ

2020年以降、対面教室は休講や人数制限への対応を迫られ、オンラインレッスンへの切り替えが一気に進みました。オンライン専業だけでなく、従来の通学型スクールもオンラインを提供するようになり、業界の境界は薄くなっています。

現在は、教室で発音や会話を丁寧に見てもらい、忙しい週はオンラインを使う、AI教材で反復して人とのレッスンで実践する、といった組み合わせが可能です。

歴史的に見ると、新しい方式が古い方式を完全に消したのではありません。グループ、マンツーマン、対面、オンラインが、それぞれの強みを残しながら共存する市場になりました。

しゅみすけ(大山俊輔)

しゅみすけ(大山俊輔)

僕が英会話教室を運営してきた20年以上でも、予約システム、教材、オンライン対応は大きく変わりました。でも、初心者の方が本当に見ているのは「ここなら恥ずかしがらずに話せそうか」。設備や方式以上に、安心できる相手と空気が教室の価値をつくる点は変わっていません。

歴史からわかる、英会話教室選びの5つの確認点

  1. 自分が話す時間:定員とレッスン時間だけでなく、一人あたりの発話量を見る
  2. 通いやすさ:駅からの距離、予約変更、オンライン併用の可否を確認する
  3. 初心者への支援:日本語で相談できるか、教材の難易度を調整できるかを見る
  4. 契約の透明性:総額、期間、解約・休会・振替条件を契約前に読む
  5. 相性:体験レッスンで講師だけでなく教室全体の雰囲気を確かめる

スクールの種類と比較軸は、英会話教室とは?種類と選び方でも解説しています。

まとめ|英会話教室は戦後に基盤ができ、約70年かけて多様化した

英語を教える場は明治期からありましたが、一般向けの民間英会話スクールが現在につながる形で育ったのは、1950〜60年代以降です。その後、駅前型の全国展開、マンツーマン、地域・個人教室、オンライン、ハイブリッドへと選択肢が増えました。

英会話教室の歴史は、学習者の「もっと通いやすく」「もっと自分に合う形で」「もっと安心して話したい」という希望に、業界が応えてきた歴史でもあります。新しいか古いか、大手か小規模かだけで判断せず、自分が実際に話し続けられる環境を選びましょう。

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