英会話スクールの代表と聞くと、学生時代から英語が得意で、留学も順調で、自然な流れで英語を仕事にした人を想像されるかもしれません。
けれど、僕はまったく逆でした。中学生の頃、英語の成績は学年最下位。高校では最初の学期で学校を離れました。理由は一つではありませんが、英語についていけなかったことは、その大きな一つでした。
その後、大学へ入り直してからも英語学習は迷走しました。教材を買い、単語を覚え、方法を変え、また挫折する。最初に通った英会話スクールも、わずか1ヶ月でやめています。
そんな僕が2006年に、大人の初心者女性を対象にした「b わたしの英会話」を始め、2026年で20年になりました。
初心者専門にしたのは、初心者の気持ちを想像できたからではありません。僕自身が、長いあいだ「英語ができない側」にいたからです。
しゅみすけ(大山俊輔)
英語が苦手だった私が、最初の英会話スクールを1ヶ月でやめた理由
当時の僕は、「英会話スクールへ行けば、先生が話せるようにしてくれる」とどこかで考えていました。しかし、教室へ入ると先生の英語が聞き取れない。質問されても言葉が出ない。周りの人は自分よりできるように見える。
レッスンの内容以前に、そこに座っていること自体がつらくなりました。「こんな簡単なことも言えないと思われているのでは」「もっと勉強してから来るべきだったのでは」と感じ、1ヶ月で通うのをやめました。
今なら、当時の自分にこう言えます。英会話スクールへ行く前に、話せる状態になる必要はありません。話せないから練習に行くのです。ただし、初心者が安心して言葉を探せる時間と、間違えても会話を続けられる環境は必要です。
現在スクール選びで同じ不安を感じている方は、b わたしの英会話は初心者でも大丈夫?も参考にしてください。
7年ほど迷走しても、努力が足りないと思っていた
大学へ入り直してから、英語学習にはかなりの時間を使いました。それでも思うように話せませんでした。方法を変えるたびに少し期待し、結果が出ないと「自分は根性がない」「もっと量を増やさなければ」と考えました。
- 単語をもっと覚えれば話せるはず
- 文法を最初から完璧にやり直せば話せるはず
- 難しい教材を終えれば自信がつくはず
- 長時間勉強すれば、いつか急に口から出るはず
どれも一部は必要です。しかし、僕の場合は「知識を増やすこと」と「会話中に英語を動かすこと」がつながっていませんでした。頭の中で立派な日本語を作り、それを正確に英訳しようとする。その処理を続ける限り、知識が増えても会話では止まりました。
努力が足りなかったのではなく、努力を流す経路が会話につながっていなかったのです。
香港のレストランで注文できた、小さな転機
転機の一つになったのは、香港へ行ったときのことでした。レストランで何かを注文する。今から思えば、ごく短いやり取りです。それでも、自分の英語で注文が通った経験は大きなものでした。
そこで初めて、英語は「全部を知ってから使うもの」ではなく、今ある言葉で目の前の目的を果たすものだと実感しました。完璧な文を作らなくても、場面を見て、必要な言葉を短く出せば会話は動きます。
ハインリヒ・シュリーマンの学習法にも影響を受けながら、音読し、自分の話へ置き換え、実際に使うことを増やしました。すると、それまで長く停滞していた英語が、半年ほどで大きく動き始めました。
もちろん、半年で何もかも完成したわけではありません。ただ、「勉強している自分」から「英語で相手とやり取りする自分」へ、学習の中心が変わったのです。
外資系企業とMBAを経験しても、初心者だった記憶は消えなかった
その後、外資系企業4社で仕事をし、米国の大学院でMBAを取得しました。昔の自分から見れば、想像できなかった場所です。
ただ、英語が使えるようになったからといって、最初から得意だった人になったわけではありません。先生の質問が怖かったこと。周りと比べて小さくなったこと。教室へ行く前に、もっと勉強しなければと思ったこと。英語が出ず、頭が真っ白になった感覚は残っています。
だから、英語を流暢に話す人だけを基準にした教室を作りたいとは思いませんでした。むしろ、入口で立ち止まっている人が、安心して最初の一言を出せる教室を作りたいと思いました。
なぜ「大人の初心者女性」に専門化したのか
2006年にb わたしの英会話を始めたとき、対象を大人の初心者女性に絞りました。すべての人へ広く届けるより、英語に苦手意識があり、教室へ入ることにも勇気が必要な人のために、最初から環境を設計したかったからです。
初心者を「入門レベル」だけで判断しない
初心者の中には、中学文法を忘れた方もいれば、TOEICの点数はあっても会話になると止まる方もいます。海外旅行の経験がある方も、外国人を前にすると緊張する方もいます。
必要なのは、一律に簡単な教材を渡すことではありません。その方がどこで止まり、何なら安心して口にできるかを見つけることです。
「待ってもらえる時間」を作る
初心者は、答えを知らないとは限りません。頭の中から英語を探し、順番を決め、発音するまでに時間が必要なことがあります。その数秒を先生が待てるかどうかで、レッスンの安心感は大きく変わります。
すぐに正解を与えるより、短くても自分で言えた経験を残す。これが次の発話につながります。
マンツーマンで、自分の話を練習できるようにする
初心者にとって、他の受講者の前で間違えることは大きな負担になる場合があります。マンツーマンなら、自分の仕事、家族、趣味、旅行など、実際に話したい内容へレッスンを寄せられます。
教材の登場人物の話だけでなく、自分の人生を英語にする。それが、教室の外でも使える会話になります。
20年続けて分かった、初心者が本当に必要としているもの
20年間、たくさんの大人の初心者と接してきました。その中で、上達する人に共通していたのは、最初から能力が高いことではありません。
- 完璧でなくても一言を出せる
- 言えなかったことを次に言い直せる
- 自分に必要な場面を少しずつ増やせる
- 安心して戻ってこられる場所がある
- 他人ではなく、以前の自分との変化を見られる
英語学習は、強い意志を持ち続けられる人だけのものではありません。仕事や家事で忙しい時期もあれば、しばらく離れることもあります。それでも、また戻り、小さく使い直せる環境があれば学びは続きます。
レッスン期間と使い方については、英会話は何年かかる?英会話教室に通う期間より大切なレッスンの使い方で詳しく解説しています。
初心者専門とは、易しい英語だけを教えることではない
初心者専門というと、挨拶や中学英語だけを扱う教室だと思われることがあります。しかし、僕たちが考える初心者専門は、単に教材のレベルを下げることではありません。
難しい日本語をそのまま英訳しようとして止まったら、今ある英語で伝わる形へ一緒に組み直す。発音が不安なら、伝わるために優先したい部分から練習する。間違いが怖いなら、訂正の前に、まず会話が通った経験を作る。
その人の「できない理由」を、努力不足で片づけず、次の一歩が出る形へ変えること。それが、僕たちの考える初心者専門です。
50代以降から英語を始める方へ向けた考え方は、50歳から英語を始めても遅くないでもお話ししています。
2冊の本に込めた「努力不足ではない」というメッセージ
2冊に共通しているのは、「話せないのは努力不足だから」と自分を責めなくていい、ということです。必要なのは、さらに自分を追い込むことではなく、知っている英語が会話へ流れる道を作ることかもしれません。
初心者向け英会話スクールを選ぶときに見てほしいこと
初心者向けと書かれているかどうかだけでなく、体験レッスンでは次の点を確認してみてください。
- 話せない時間を急かされないか
- 間違えたときに萎縮せず続けられるか
- 自分の目的や話題を聞いてもらえるか
- 短い英語でも会話として受け止めてもらえるか
- 通い方や教材を一方的に決められないか
- 数ヶ月後も戻ってきたいと思える雰囲気か
合う教室は人によって違います。bが向いている人・向いていない可能性がある人についても、入会前に確認したいことで率直にまとめています。
話せるようになってから来る場所ではなく、最初の一言を一緒に作る場所へ
b わたしの英会話は、大人の初心者女性に特化したマンツーマン英会話スクールです。体験では、英語力を試すことより、安心して言葉を探せるかを確かめてみてください。
まとめ:英語が苦手だったから、初心者専門を20年続けてきた
僕は英語が得意だったから英会話スクールを始めたのではありません。学年最下位になり、学校を離れ、何年も迷走し、最初の英会話スクールを1ヶ月でやめた。その経験があったから、初心者が教室へ入るときの怖さを忘れずにいられました。
英語ができないことは、恥ずかしいことではありません。いま言えないことは、次に練習する一言が見つかったということです。完璧な準備を終えてから始めるのではなく、今の自分で出せる一言から会話を始める。
その一言を安心して試せる場所を作り続けることが、b わたしの英会話を初心者専門として20年続けてきた理由です。
執筆:しゅみすけ(大山俊輔)/b わたしの英会話 創業者。米国Thunderbird School of Global Management MBA。外資系企業4社での勤務を経て、2006年に大人の初心者女性専門の英会話スクールを創業。




