「もう50歳を過ぎたし、今から英語を始めても遅いのでは?」
英会話スクールを運営していると、この不安を本当によく聞きます。けれど、50代・60代から英語を始めることは、決して珍しいことではありません。若い頃と同じ覚え方や速さを目指す必要もありません。
この動画を公開したのは2022年。当時の僕は、今より少し強い言葉で「諦めるな」と話していました。表現はだいぶ勢いがありますが(笑)、伝えたかった中心は今も変わりません。
年齢を理由に可能性を閉じる必要はない。ただし、大人には大人に合った始め方がある。
この動画で伝えたかった3つのこと
動画では、50代以降の英語学習で避けたいパターンとして、次の3つを挙げています。
- 「英語が話せたらいいな」で止まり、使いたい場面が決まっていない
- 若くて流暢な人と比べ、同じ覚え方や速さを求めてしまう
- 学生時代と同じように、単語・文法の暗記だけへ戻ってしまう
どれも英語を学ぼうとする真面目な人ほど入りやすい道です。問題は年齢そのものより、目的と学び方が噛み合っていないことにあります。
50歳からの英語は「何をしたいか」から始める
「英語が話せるようになりたい」は、出発点としては十分です。ただ、そのままでは必要な英語の範囲が広すぎます。
たとえば、次のように場面まで具体化してみてください。
- 次の海外旅行では、レストランの注文を自分でしたい
- 外国人に道を聞かれたら、短い英語で案内したい
- 好きな映画や海外ドラマを、少しずつ英語で楽しみたい
- 外国人の同僚や知人と、仕事以外の雑談もしてみたい
- これから長く続けられる趣味を一つ持ちたい
目的は立派である必要も、大きなものである必要もありません。「次に同じ場面が来たら、一言だけでも返したい」という気持ちも、十分に具体的な目標です。
50代の学び直しを何から始めるかは、50代の英語学び直しは何から?学生以来のブランクがある人へで、学習の順番まで詳しく紹介しています。
若い人と同じように覚えなくていい
若い人の発音や記憶の速さを見て、「自分には無理だ」と感じることがあります。けれど、そこで競う必要はありません。
50代には、仕事、家族、旅行、趣味、人間関係など、すでに話したい中身があります。英語が少しゆっくりでも、難しい単語を使わなくても、自分の経験や考えを相手へ渡せれば会話になります。
大人の学びでは、新しい言葉を過去の経験や知識と結びつけることもできます。旅行先の景色、仕事で起きた出来事、好きな映画の場面など、自分が知っている世界と英語をつなげるほど、単なる暗記ではなくなります。
若い人のように話すことより、今の自分だから話せることを、シンプルな英語で伝えられるようになる。
50歳からの英会話で大切にしたい考え方
学校英語を捨てるのではなく、会話につなぎ直す
動画では「学校英語をやり直すこと」を失敗例として強く話しています。ただし、文法や単語が不要という意味ではありません。
避けたいのは、学生時代と同じように、最初のページから暗記をやり直し、全部終わるまで会話を先送りすることです。知っている英語を、聞く・口に出す・自分の話に変えるところまでつなぐ必要があります。
- I like traveling.
- I went to Kyoto last month.
- I want to visit London next year.
- Can you say that again?
このくらい短い英語でも、自分の経験や希望を入れれば立派な会話です。必要な文法の範囲については、英語を学び直すなら文法はどこまで必要?も参考になります。
難しい日本語を、そのまま英訳しようとしない
年齢を重ねるほど、日本語では複雑なことを考えられるようになります。ところが、その日本語をそのまま英語へ変えようとすると、必要な単語も文法も急に難しくなります。
英会話で役立つのは、英語力を上げることだけではありません。自分が今使える英語まで、伝えたい内容をシンプルにする力も大切です。
たとえば「日本政府は、この法案に対して慎重な立場を声明として発表した」と完璧に訳そうとすると止まりやすくなります。会話の目的によっては、The Japanese government said, “We can’t do it yet.”のように、まず伝わる骨格へ言い換えられます。
語彙が足りないから黙るのではなく、知っている言葉で別の道を作る。この力は、人生経験がある大人ほど育てやすいものです。
89歳から英語を始めた女性が教えてくれたこと
動画の中で、89歳から英語を始めた女性の話をしています。
亡くなったご主人が英語を話せる方で、ご主人を思い出すことも英語を始めた理由の一つでした。その方は学習を6年間続け、最後には若い頃の恋の話まで英語で話せるようになりました。
もちろん、誰もが同じ期間や同じ結果になるとは限りません。ただ、この経験から僕が何度も教わったのは、年齢だけでは「どこまでできるか」は決まらないということです。
始める理由が自分の人生とつながり、無理のないペースで実際に英語を使い続けられるなら、学びは前へ進みます。
50代から始めるなら、最初の一歩は小さくていい
いきなり「英語をマスターする」と決めなくても構いません。まずは、次の一歩から一つ選んでみてください。
- 英語を使ってみたい場面を一つ書く
- その場面で使う短い英文を三つだけ準備する
- 音声を聞き、自分の口でも繰り返す
- レッスンや会話で、そのうち一文を実際に使う
話せなかった部分は失敗ではなく、次に準備する内容が見つかったということです。「勉強を終えてから話す」のではなく、「少し準備して話し、必要なことを戻って学ぶ」という循環を作っていきましょう。
50代・60代が自然に通う場所か、実際に確かめてみる
b わたしの英会話では、50代・60代の女性が英会話を始めることは珍しくありません。初心者向けのマンツーマンレッスンなので、自分の目的とペースから始められます。
スクールの特徴や同世代の通い方については、b わたしの英会話は50代・60代でも通える?で詳しく紹介しています。
「今さら」ではなく、「今だから話してみたいことがある」
まずは教室の雰囲気や、Lesson Partnerが初心者の言葉を待ってくれるかを体験で確かめてみてください。
まとめ:50歳からの英語は、若い頃の続きではなくていい
50歳から英語を始めても、遅すぎることはありません。ただし、若い人と同じ記憶力や速さを競ったり、学生時代と同じ暗記だけへ戻ったりする必要もありません。
英語で何をしたいのかを一つ決める。自分がすでに知っている英語を、口から出せる形につなぎ直す。難しい日本語を、今の英語で言える形へ変える。そして、小さくても実際の会話で使う。
大人の英語学習は、若い頃に戻る作業ではありません。今まで生きてきた経験を、もう一つの言葉で渡せるようにしていく時間です。
執筆・動画解説:しゅみすけ(大山俊輔)/b わたしの英会話 創業者
「年齢に関係なく始められる」と考えるようになった背景には、創業者自身の長い英語迷走があります。英語が苦手だった私が、初心者専門の英会話スクールを20年続けてきた理由で、学年最下位からスクール創業までの経緯をまとめました。
50代で始めるときの学習量や続け方は、50代から英会話を始めても遅くない?で具体的に解説しています。


